遅延耐性ネットワーク (DTN)

離島や山間地のような広大かつ過酷なフィールドに生息する生物や環境の変化をリアルタイムに観測するために、無線LANやZigBeeのような無線アクセス技術を利用した、大規模なセンサーネットワークの構築が求められています。しかし,生態・環境観測のフィールドは未開地であり、障害物が多く地形の起伏が激しいため、無線LANのアクセスポイントを敷設するための電源確保が困難であるだけでなく、人の出入りさえ困難な場合もあります。

そこで近年では、センサーネットワークを構築するために「DTN(Delay, Disruption, Disconnection Tolerant Network)技術」が研究されています。DTN技術とは、アクセスポイントを設置できず通信路を確保できない環境でもデータ通信を実現する枠組みです。DTN技術の分野では、移動体(例: 車や人に取り付けたデータ中継装置)が情報を「蓄積」し、通信の機会を得ることのできる場所まで情報を「運搬」する「蓄積運搬型転送」に関する研究が多く行われています。

飛行体による蓄積運搬型転送を活用した生態・環境観測システム

無線アクセス技術をサポートし、移動経路を自由にプログラミングできる「自律飛行体(UAV, ドローン)」を中継装置として利用する「飛行体DTN技術」を確立する研究開発を行っています。飛行体は、フィールドを三次元的に移動することで障害物を避けることができ、通信相手との見通しを容易に確保できるため、生態/環境観測のフィールドで運用する中継装置として適しています。

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生態観測に使用できる飛行体を開発するために、まずは市販の飛行体(AR Drone)にGPSモジュールを取り付け現在地を把握する機能を拡張したり、利用者が設定した目的地の座標までの方向・距離を計算し、目的地まで自律的に飛行する自律飛行方式を研究開発しています。さらに、直接通信することができない端末の間でデータベースの内容を同期する、新しいデータベース同期手法を設計・開発しています。

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