高齢者施設支援システム

【研究の全体像】

【研究概要】

近年、日本では高齢化が急速に進み、65 歳以上の高齢者が総人口の28.8%を占めている。これに伴い、高齢者施設の利用者数も増加しており、福祉現場における介護者不足が深刻な問題となっている。そのため、グループホームを対象として、遠方に住む家族に代わって高齢者の生活を見守るシステムが検討されている。カメラを用いた手法では、高精度に行動を推定することが可能となるが、居住者のプライバシーを侵害する可能性や居住者がシステムに対して抵抗感を持つことが懸念されている。

そこで本研究では、対象物までの距離・位置・形状を取得可能な三次元LiDARを屋内に設置し、LiDARから取得した三次元点群情報を機械学習技術により解析することで、高齢者の行動を推定するシステムの研究開発を行う。具体的には、人の姿勢に加えて移動履歴を特定することで、高齢者が正常な状態にあることを特定できる三次元点群情報の解析技術を研究開発する。また、点群情報をもとに姿勢推定を行う機械学習モデルの構築には、三次元LiDAR で計測した点群情報に対して、人に対応する点群を手動で設定するアノテーション処理を行うことで、正解ラベルを付与した学習データを作成する必要がある。高精度かつ汎用的な機械学習モデルを構築するためには学習データを多数用意する必要があるが、多数のデータにアノテーション処理を適用するには膨大な時間と手間がかかり、現実的ではない。一方、Web カメラ等の可視光カメラで撮影した画像には個人のプライバシーに関する情報が含まれる可能性があるが、画像に対しては、人の存在やその骨格などを高精度に推定する技術が存在している。そのため、プライバシーに関する情報の取得が許容される空間では、カメラを用いて高精度に人の行動を推定することが可能といえる。そこで本研究では、介護士や他の高齢者と生活する共有空間を対象として、三次元LiDAR による点群情報の取得と同時に、可視光カメラにより撮影した画像を解析し、正解ラベルである人の姿勢を特定して点群情報に対して付与することで、学習データ自動的に生成する自己学習手法を提案する

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